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「日本の年金って安心なの?」とテレビの情報番組で取り上げられることがあります。
その積立金について、考えてみたいと思います。
7月2日の日本経済新聞朝刊からご紹介します。
GPIF、10兆円黒字 21年度
ここから
公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は1日、2021年度の運用実績が10兆925億円の黒字だったと発表した。黒字は2年連続。米国の金融引き締め観測やウクライナ情勢の緊迫化で年明けは株安や金利上昇が逆風になったが、21年末までの運用益で補った。
GPIFは世界最大規模の機関投資家として知られ、22年3月末時点の運用資産は196兆5926億円にのぼる。21年度の収益率は5.42%で、年金積立金の市場運用を始めた01年度からの累計収益額は105兆4288億円に達した。
21年度の運用損益は外国株式で8兆4290億円、国内株式が1兆871億円、外国債券が1兆724億円の黒字だった。国内債券は4960億円の赤字だった。21年末までは各四半期でプラスの収益を維持していたものの、22年1~3月期に限ると各資産の損益はすべてマイナスだった。
***以下省略***
ここまで
日本の年金制度は、賦課方式と呼ばれています。
これは、現役世代の給料から毎月引かれている年金保険料を、お年寄りの年金に充当するものです。
年金には隠し財産があります…冗談です。
隠し財産なんていうと、人聞きが悪いですね。
「積立金」があるんです。
その額、なんと196.5兆円(2022年3月末現在)。
記事にあるGPIF(ジーピーアイエフ、またはジーピフと呼びます)という機関で運用がなされています。
2021年度は、10兆円の黒字だったという記事の内容です。
厚生労働省のホームページで以下のデータを見つけました。
https://www.nenkin.go.jp/saiyo/about/data.html
毎年の年金支給額は52.9兆円、保険料収入は39.1兆円だそうです。
この差額のうち、老齢基礎年金の半額は消費税の一部からあてがわれいます(たしか、そのはずです)。
消費税であてがわれているということは、全世代で負担しているということですね。
ですから、差額の約13.8兆円を丸々積立金から拠出しているわけではないと思います。
前年度の運用による黒字が10兆円でしたから、かなり貢献しているのではないでしょうか。
このように、年金には200兆円弱の積立金があります。
ただし、これは運用成績により上下します。
最近はアメリカの株式が年初来から下がっていますから、今年度分は厳しくなっているかもしれません。
ただ、外国株はポートフォリオの中でも、割合は小さいと思いますが…。
そして、この積立金とは別に、毎年度の物価または賃金によるスライド制があります。
それに加えて、マクロ経済スライド制でもう一つの歯止めをかけています。
よく「年金は破綻する」とか、「将来は年金を貰えない」などとネガティブなことを聞きます。
スライド制により金額は減るでしょうけど、年金制度が破綻することなんてありえないです。
ただし、年金だけで老後を暮らすことは難しいでしょう。
ですから、「2,000万円問題」が提案されようとしました。
そのレポートは、いまでも金融庁のHPで見ることができると聞いたことがありますが…。
世界各国では、年金の支給開始年齢を67歳とか、68歳などに引き上げています。
それだけ支払うべき年金が少なくて済みますから…。
日本はご存知の通り、65歳です。
例外として、繰上げや繰下げの制度があります。
世界各国で年金の支給開始年齢を上げているのは、こういった積立金がないからだと本(知らないと損する年金の真実 - 2022年「新年金制度」対応 - 著者:大江英樹)で学びました。
200兆円弱の積立金を有する日本は、現段階では当面の資金枯渇はないと思って良いでしょう。
ですから、海外諸国が年金制度にメスを入れても、そんなに焦らなくても良いのではないでしょうか。
過去25年もの間、賃金が上がっていないわが国で、「年金開始年齢を65歳から引き上げます」なんてことになった際の消費の冷え込みを考えると、そちらの方がゾッとします。
私はそう考えています。
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