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来年の春闘は、インフレ下で従来より賃金アップがなされそうですがが、死角が…。
11月27日の日本経済新聞朝刊からご紹介します。
2023年「賃上げ春闘」の死角
パートの生産性停滞も
ここから
岸田文雄首相が経済対策「新しい資本主義」で最優先する「構造的な賃上げ」。2023年の春季労使交渉に向け経済界に「物価上昇をカバーする賃上げ」を求め、連合は5%の賃上げ要求を掲げた。だが、高まる賃上げ機運にはパート主婦の社会保険料免除制度という盲点がある。
物価高と賃上げを取り上げたNHKの討論番組に出演していた総菜メーカー、デリモの栗田美和子社長はパート主婦の社会保険料免除制度について「やめた方がよい」と言い切った。
会社員や公務員に扶養される配偶者は年収などが基準以下なら社会保険料免除となる制度があり、第3号被保険者と呼ばれる。この基準である「壁」を越えて働くと手取りが減るため、年末が迫ると勤務を減らす主婦が多い。経営者は人手不足になると嘆いてきたが、廃止まで求める声はあまりなかった。廃止すれば事業主にも保険料負担が生じるからだ。
そう言っていられないほど人手不足が深刻になっていることを栗田氏の発言は示唆している。
日本の就労者数は総人口が2008年をピークに減少に転じた後も伸び続けた。女性と高齢者が非正規で働きだしたからだ。原動力は3号被保険者の主婦だった。約800万人の3号被保険者の半分強は「壁」の内側で働いており、壁を越えそうになると勤務日数を減らして調整する。
***以下省略***
ここまで
社会保険に関して、ご主人の被扶養者で居続けるため、パートで働く奥さんは給料を年130万円以内(厳密には、給与所得等の収入がある場合、月額108,333円以下で、他にも要件あり)にしておく必要があります。
これによる恩恵が、国民年金保険料も健康保険料も無料になることです。
この「130万円の壁」を越えると、自分自身で国民年金保険料と国民健康保険料を支払う必要があります。
ここでは書かれていませんが、「106万円の壁(厳密には、月額給料が8.8万円で他にも要件あり)」があります。
これは、101人以上の社会保険の被保険者がいる会社では、週所定労働時間が20時間以上、月額給料が8.8万円以上等の要件を満たすと、その方ご自身が被保険者(被扶養者ではありません!)になる必要があります。
また別に、私は専門外ですが、所得税を払わないための「103万円の壁」というものがあります。
税制上の扶養に入るためでもあります。
これらの「壁」のために、パートタイマーやアルバイトの方の中で、労働時間を短くする人が出てきています。
皮肉なことに、最低賃金が上がれば上がるほど、多くの労働時間を短くせざるを得ません。
パートの方の仕事は、レジや接客などが多いです。
レジのシステム進化などにより生産性を高める努力がされています。
ですけど、ポイント付与がどうのこうので、一人当たりの接客時間は短くなっているのか疑問に感じることがあります。
私は、たまに「商品の知識より、このポイントだのなんだののシステムを覚えることの方が大変なんじゃないですか?」と同情して声をかけると、「そうなんです(涙)」との答えばかりです。
こういう状況を見ると、パートタイマーさんの仕事はシステム化では改善されないものも多くありそうです。
レジや接客は、まだまだ労働集約型産業と言えます。
となると、企業としてはその人たちに労働時間を短くされると本当に困ります。
社会保険や税の「壁」が、企業と働くパートタイマーさんの双方の首を絞めていると言わざるを得ないのが記事で言いたいところではないでしょうか。
給料が上がると、「壁」のために労働時間を減らしたいと考える層の方が居て、皮肉なる人手不足へ…。
そこが死角なのでしょうね。
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